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来夏への祈り

*TOKYO IDOL FESTIVAL 2012 お台場・青海特設会場 (2012.8.4・5)

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 TOKYO IDOL FESTIVAL(以下TIF)が会場規模も参加アイドルも拡大させて当たり前のように今夏に帰ってきてくれたことが本当に嬉しい。
 昨年のTIF2011は前年に引き続いての継続開催が実現するかどうかすらも覚束ない中で、しっかりレベルアップをしてフェスとしての体裁を整えて実施してくれたことに大きな喜びがありました。今年は、気がつけばTIF開催を半ば当たり前に待ち望むことができている。そのことに素直に感謝したいと思います。

 今年の会場運営で感じたのは、想像していたよりもずっと、導線やインフラにストレスを感じずにフェス空間を楽しむことができたということです。昨年も基本的に会場の立地や使用設備は同じでしたが、各会場への出入りや入場規制等には少なからず要改善の箇所もあったように思いました。今回、参加アイドルの数を増しながらも、大きな混乱を招くことなく二日間のフェスが遂行できたのは、TIF運営のフィードバック能力と規模拡大にあたっての事前準備が奏功していたということだと思います。

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 新たなエリアとしてZepp DiverCityを中心とするダイバーシティ東京の一部が使用されていましたが、ここに最大規模のステージを置き、フェスエリア全体を拡張させたことで、各々が広いスペースのどこで楽しむかの選択肢が増えて、うまい塩梅の分散に繋がったのかもしれません。TIFが定着してゆけばまた来場者数やもろもろの規模等も変動するはずで、そのたびに機に応じる必要はあるのでしょうが、今回のエリア設定は過去3回のTIFのうちでもっとも良く、このエリアをベースにしていけばよいのではないかと感じました。


 入退場にもっとも時間がかかったのはおそらく、フジテレビ湾岸スタジオ屋上のSKY STAGEでしょう。二機のエレベーターのみ使用という方針は昨年と変わらずのため、時間帯によっては30~40分かかることもありました。たとえば混雑時の想定所要時間を掲示する等の対策は今後考えうるとしても、基本的にはこれは致し方ないと考えます。
 建物直下のSMILE GARDENからライブの音が漏れ聞こえる中、仮に階段を開放した場合、来場者が先を急いで階段を駆け、転倒事故などに繋がるリスクを考えれば、事前の策としてエレベーター移動のみに限定する方針は支持します(7階から上へ繋がるエスカレーターが閉鎖されていたのも、節電はあるにせよ、どちらかといえば安全上の理由かなと思いました)。
 高層の屋上に設えられた天空の舞台、SKY STAGEはロケーションとしてもひとつの呼び物なわけで、トラブルなくこの舞台がこれから先もずっと観られるためと思えば、安全策をとってくれることはむしろよいことかと。

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 やはりこのステージは壁面も地面も感じさせず、俗世からちょっと浮き上がったような不思議な心地があって、その上でアイドルたちが躍動する光景は本当に素晴らしい。昨年、初めて観たSKY STAGEについて「中央のテレビ局というある種の「俗」を強く感じさせるものでありながらまた一方でそれ以上に、ちょっと「俗」から切り離されたようにも思える不思議なバランス」と書きましたが、青空と高層建築が借景になったこの景色はやはり格別。来年も再来年も、夏になったらあそこに登れる、と思える場所であってほしい。

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 ところで今回の参加アイドルのうち、自分が最も足繁く通っているのは、先頃tengal6から改名したlyrical schoolです。もともと彼女たちの出演時間を中心にスケジュールを組むつもりでいましたが、出演する予定のステージの設営問題で、初日の夜の出演が中止となってしまいました。ステージ使用中止の経緯はいささか波紋を呼んだトラブルでもあり、要因も単純にどこかに負わせられるものであるとも思いません。それ自体は決して幸いな出来事ではなかったでしょう。しかし、それゆえに実現した臨時の“夜のお散歩”は、フェスでこそ堪能できたサプライズでした。

 一日目深夜のイベントIDOL CLUB NIGHTまではまだ少し時間のある22時台、疲れた体を休める来場者たちが芝生に座り込んでいたSMILE GARDEN付近で、夜のライブが中止となったlyrical schoolによるアカペラが始まります。彼女たちがエリアを練り歩きながらアカペラでラップを続け、それを囲うように連なって来場者たちがクラップやコールをしながら行進してゆく。夏のたびに、TIFのことを考えるたびに思い起こせる稀有すぎるひととき。
 そんな、夢か現かと言い表したくなるような時間をつくって、やがて彼女たちは走って控え室に帰ってゆきました(メンバーはこれを「夜のお散歩」「幻」等と表現しているので、ここでも自分が体験したことはそうであったとしておきます)。ここから深夜のZeppでのライブ、翌日のライブと次々クオリティを高めていったように見えるlyrical schoolの動きは目覚しく、二日目夕暮れのDiverCityガンダム像前でのライブでは、一回りランクアップしたような彼女たちの姿がありました。
 思い入れの強いグループがTIFで残した痕跡は格別に嬉しく、これからもっとたくさんの人の目に触れればいいなと。

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 出演グループのことでいえば、今回のTIFには大きな話題を呼ぶ招聘がいくつかありました。最大のものはSKE48の登場でしょう。目下の勢いと知名度を考えると、どれほどのファンが集まりどのような空気が生まれるのか、予測のつきにくかったのがSKEだと思います。しかし今回は、先に書いたエリア設定や導線確保等の改良もあり、考えるほど混乱する事態にはなっていなかったというのが個人的な印象です。無料開放エリアのSMILE GARDENにあらわれたSKE48の「降臨」感には説得力がありました。何より存在としての説得力。大きな有名性をもつアイドルについては、来場規模を考えてこれからも探りながらの招聘になるのだとは思いますが、ここまでの知名度のアイドルも同時に呼び得たことも、小さからぬ成果のひとつだったと思います。

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 自分の管見の限りですが、今回は過去2回のTIFよりも、事前からの懸念や否定的な見解が各所から多く表明されていたように見えました。目についたものを大別すると、ひとつには人選問題、もうひとつにはアイドルのギャランティー・交通費等の問題であったかと思います。

 人選については、当初よりも格段に多くなったであろう参加希望にいかに応えてゆくかということ、またイベントとしての存続を考えた際、いかに各方面に開催意義の理解を取り付けるかなどのバランスのもとに動いていることは間違いない。その中で、ある種の知名度をもった人選が求められたり、要望に十全に応えられない面はあったでしょう。いつしかTIFはアイドル合同イベントにおいて最大手と目されていて、そうなると少しの偏りにもクレームや野次馬的な詮索があらわれることは避けられない。満点の正解をとれる人選などないので、そのあたりの舵取りは難しいところ。


 もう一点、目にしたのは参加アイドルがノーギャラであることへの批判です。気持ちとしてはこれはよくわかる。TIFの門澤清太プロデューサーが「皆さんノーギャラ、ノー交通費ですよ」(「週刊プレイボーイ」2012.8.13)と明言していることから、少なくともギャランティーであると胸を張れる額の見返りはないのでしょう。在京でないアイドルグループの参加も多い中、願わくは各グループに出演料が保証されてほしい。今年でいえば各アイドルの運営スタッフを含めなくても700人を超えるアイドルが参加する中、どのようにしてその保証が可能なのか、皆目わからないのが正直なところですが。

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 ただ散見した批判の中で疑問があったのが、このノーギャラ問題をすぐさま運営の私腹を肥やす、あるいは搾取といった話に接続させる議論でした。プロデューサーがフジテレビの人間であり、使用施設がフジテレビ関連施設であったことで、TIF運営の費用を安く見積もる算段をしているということかもしれません(あるいは「フジテレビ」という中央テレビ局の名前があることで、“体制”的なイマジネーションを膨らませやすいのかもしれません)。

 内部事情を知らない人間の想像ではありますが、仮にスタジオ使用料が無料であったとしても、本格スタジオ規模の音響照明映像設備は二日間回し続けるわけで、そこには相応の出費は必要なはず(今年はフジテレビの施設ではないZepp等も使用している)。人件費はまたその二日間のみに還元できない額が発生する。3回目を迎えても「フジテレビ」のイベントとなっていないTIFが、フジテレビ本体にどれだけの理解を得られているか、あるいは協力体制がとられているのかもわかりません。一日あたり4500~5000円のチケット料で、数万人規模が各日有料参加したとは考えにくいイベントが、それだけで収益に膨大な余裕を生むと軽々に予測することはできない。であるならば、ノーギャラ問題において考えるべきは、大規模フェスというものがいかにして運営に経済的余裕を生みうるのかということではないかと。ここではギャランティーが満足に支払われないということと、「上に立つ者」がイベントの知名度をエサに搾取していると考えることとは別問題として捉えないと、話が雑になりそうな気がします。また、それでもTIFに参加して何がしかを作ろう、何がしかを得ようとするアイドルのモチベーションを、搾取構造を前提にした詮索にばかり還元するのもな、ということもあります。


 という擁護をここでわざわざしたのは、現在アイドルイベントの最大手的に目されるTIFは、それでもなお存在として安泰ではないと考えるからです。来年も開催されるだろう、と当たり前に思い込むことはまだできない。無邪気に「体制」を想定して、安心して叩けるような存在ではないんじゃないか。TIFを失うことは、きっと思っているよりもずっと簡単。ならば、単純過ぎる否定よりも、継続のための改善箇所探しにしたい。提起されるものが、TIFというフェスが続くための指摘であればいいなと(たとえばアイドル、来場者双方にとっての救護設備の充実は次回以降必須の課題だと思います)。

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 今年も、グランドフィナーレを終えた後の、SMILE GARDENでのジャンボリーは野外フェスの夜の楽しさを最大にたたえたものでした。ステージ上のアイドルたちは、来年のTIFへの希望を口々に叫んでいました。昨年の形態を継承しつつ拡大して、TIFのかたちが定着し始めた今年。それでもまだ、「来年もここで会いましょう」という言葉は、実現を切に願う「祈り」としての気分が強い。自分もまた、ささやかに祈りを捧げつつ来夏を心待ちにしたいと思います。
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