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『MELON'S NOT DEAD』!!

*メロン記念日『10th ANNIVERSARY LIVE【生誕3654日感謝祭】 SHIBUYA-AX (2010.2.19)


 アイドル界の奇跡が、解散を発表しました。


 時代に愛されて加速してゆく2000年代初頭のハロー!プロジェクトにあって、表立って「時の人」になることは、ありませんでした。花火を打ち上げられぬまま終息する予感の漂う中、シングル『This is運命』でアイドルファンをひれ伏させ、「時の人」にならないままライブパフォーマンスでヲタを躍らせ、低すぎない低空飛行で活動を進行させる、本当に稀有な存在としてメロン記念日はありました。
 スキャンダルが噴出するほどの「芸能人」にならない、という立ち位置は結果的に、彼女たちを処女幻想から逃れられる年齢までサバイブさせることにも一役買ったのではないでしょうか。強力な「ヲタモダチ」を獲得した彼女たちはアイドルとしての鬼門をいつしか乗り越えていたかに見えました。停止する理由などない、かに見えました。この日のライブも、アンコールのMCまでは、最高に頼もしくて分厚い、彼女たちのパフォーマンスがありました。


 解散に関しては。
 分析は、いたしません。

 終末感などまったくない、充実という言葉の似合うこの日のライブを記録しておくことこそが今はふさわしいかと。


 10周年記念のアニバーサリーライブ前半は、過去曲の振り返りをしばしば挟んだ構成。初期、それも『This is 運命』以前の頼りないグループだった頃の記憶が蘇る『告白記念日』→『電話待っています』の流れは、10年の成長を見せつける象徴的な場面でした。
 『告白~』はとても骨太になっていて、出し惜しみせず育ててゆけば未来のキラーチューンにもなりうる、と思わせるもの。当時、行き詰まりの予感が隠せなかった『電話待っています』も、現在のメロン記念日にかかるとクラシックとして響いてしまう。ライブパフォーマンスで信頼を得てきた彼女たちの余裕がうかがえます。


 一方、昨年の「ロック化計画」は佳曲こそ生まれたものの、「ロック化」と標榜してしまうことに関して、アイドルが「アーティスト」宣言するような危うさ(そんなこと言い出すのは行き詰まったアイドルくらいのものだし、その「宣言」自体がきわめてアイドル的な振舞いに見えてしまう、という)も感じていて、ライブの中で一連の曲をどう消化するのかな、という危惧もあったのですが、それもクリアされていたと思います。
 「ロック化計画」の曲群をひと塊にせずに、既存曲のレパートリーに散らしたうえでそれぞれの曲に色づけを足してきたことで、完全に自分たちの曲として乗りこなす態勢ができたのだな、とここでも彼女たちの頼もしさを再確認。『さあ!恋人になろう』のあとに持ってきた、ミドリとのコラボ曲『sweet suicide summer story』。昨年7月の新宿LOFTでの対バンではまだ自分のものにできていない印象もありましたが、半年を経て、「ロック化計画」という惹句に寄りかからない、メロン記念日自身の武器と化していました。ミドリが提供してくれたこの楽曲が素晴らしくドラマチックな展開をもつ作品であることも、彼女たちのパフォーマンス向上によって際立つ。こんなに短期間で、「ロック化計画」という一歩間違えればからめとられてしまう危うい企画も見事に昇華してみせました。
 いつも通りに加速するライブ後半から終盤。柴田あゆみが完全メインを担当していた時代の名曲『香水』も、昨年のTHE COLLECTERSとのコラボ『青春・オン・ザ・ロード』も並列に提示してみせ、何の不自然さも屈託も感じさせない。なんと厚みのあるグループなのか、と。


 余裕です。このままいけばいいのだと思います。このままいけばよかったのだと思います。
 でもそうならないのなら、たぶんそれで正解なのです。


 そもそも年齢層が高いといわれるメロンヲタ。10年も経れば会場を埋める人間の頭髪は、あるいは密度を失い、あるいは灰色へと模様替えします。皮膚にも隠しようのない年輪が刻まれます。けれど、頭にタオルを巻き、黄緑のTシャツで武装した者たちにとって、この10年は老いのプロセスではなくてメロンとの長い蜜月。
そんな密かなオアシスは、あとふた月ちょっとで消え去ります。


 オリジナルメンバーから一切の変更を経ずに、写真週刊誌に追われる類のブレイクもせずに、なおかつ楽曲とライブパフォーマンスで10年サバイブし続けた女性アイドルグループなんてどこにいる。メロン記念日はアイドル史に、他ではありえないかたちの爪跡と伝説を確実に残したのです。
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